2020年1月 のアーカイブ
韓国視察報告3 視察を終えて
みなさん、こんにちは。きしべ都です。
今回の視察で
1997年以降
カンウォン道の廃鉱地域では、
国の投資で社会基盤整備、
社会インフラ整備が進み、
生活環境は改善できたが
医療、教育などへの投資予算は
相対的に至らず、
総合病院がなく、
適切な医療ができないことなど課題は
多くあることや、
社会基盤整備が進んでもカジノ以外の産業が進まずに、
カジノに依存してしまっていることが確認できました。
産業、雇用がなければ若者は街を離れ
、町を離れた若者が帰ってこないのは
日本でも同様に大きな課題です。
安心して暮らせる町としての魅力、
横浜市でも
選ばれる街、住み続けたい街を目標としており、
産業の創出、維持、発展の観点からも
カジノの存在が
まちづくりや町の活性化の負の要因ともなりかねない
と考えられます。
意見交換でも
ジョンソン郡では、
雇用や経済のプラスがあり
時限法の延長を決めているが、
カジノの問題点・マイナス面は大きく、
射幸性、カジノへの距離、依存性、等々
よくよく考慮するべきともご意見いただきました。
実際にカジノの大きな税収を得ていても
ぜひやるべきだとならない
カジノの問題性を
もっと考慮すべきであると思いました。
質屋やヤミ金の乱立や
青少年への有害環境、
ギャンブル中毒者、家事蕩尽事例の発生、
カジノホームレスなど
やはりと思う負の部分は見過ごせません。
ジョンソン郡のように
小さく他に産業もない訳でもないのに、
なぜ横浜がカジノを誘致するのかと
逆に問われました。
多様な産業があり、
人口も多く
、観光でも県内で3位の横浜が
あえてカジノを誘致しなければならないとは
思えません。
依存症対策として
行政としての取り組みではなく、
カジノ事業者に任せてしまっていることを確認しました。
原因を作っているところが行う対策に
根本的な治療や解決ができるのか、
事業の継続を考えた手立てになっているのではないかと
疑念が生ずるのはやむをえないことです。
国としての対策もこれからということで
依存症の原因を作らせないことが
一番の対策です。
今回の視察では、
時間がたりず、学校が閉校したことや、
教育環境の状況についてまで伺えませんでした。
学校がなくなれば子どもを持つ世帯は離れてしまいます。
若い世代が生活できる街づくりとして、
カジノがあっていいのか、
健全な教育環境と言えるのか、
カジノの有害性はもっと問われるべきです。
カンウォンランドは半官であり、
国のカジノ委員会が管理しています。
税収が3年間で減収になっているのは、
カジノの収益を国の委員会が統制をかけ、
テーブル数、台数など制限したことによると伺いました。
また、時限法の延期にあたって、
規制を強化するなど
国・自治体による管理がおこなわれています。
日本の場合は
民設民営であり、
設置後の実態に合わせた
国・自治体の関与が
韓国のようにできるのか懸念されます。
今回、事業者だけでなく、
設置自治体からも
経過や現状、対応など伺えたことは
大変参考になりました。
日本も
設置自治体の現状や課題などについて
この間の先進国の実態やとりくみなど
もっと調査し、
課題や対応策、
工夫などつまびらかにして
検討を進めるべきと考えます。
事業者のいうメリットだけでなく
自治体の背負うデメリット、
リスクや財政負担などの説明が必要です。
ジョンソン郡のように
産業の衰退や人口減少など
街の存続をかけて
カジノを誘致してもなお、
他の産業の進展や若者の流失など
課題解決に至っておらず、
負の側面があまりに大きいと感じました。。
年間観光客数を伸ばし続けている横浜が
今、あえてカジノを誘致するメリット、
カジノの必要性について、
今回の視察を通して
感じることはなく、
逆にカジノ抜きでも十分、
誘客できることを確信しました。
カジノ誘致の撤回を求めて
住民投票を実現し、
カジノ反対の民意を
市政に反映させましょう。
韓国視察報告2 設置自治体に聞く ジョンソン郡
みなさん、こんにちは。きしべ都です。
今回の視察では
カジノ事業者だけでなく、
設置の自治体でも
お話を伺うことができました。
1)カジノ誘致決定過程・誘致以降の人口変化
1989年から石炭産業合理化政策で
石炭鉱業所の廃鉱による地域経済が停滞し、
地域人口の急減、
廃鉱後17年で約半数になり、
昨年度は1978年比マイナス10万人の減少となっている。
1993年 地域再生運動推進委員会を設置
政府へ建言書提出し、
地域経済の回復に向けて、
核廃棄物貯蔵施設の誘致も検討していた。
1995年に対政府闘争が展開され、
主要炭鉱地域を開発促進地区に指定、
主要炭鉱地域に
代替産業の操業促進のための支援をもとめ、
この過程でカンウォンランドの設置根拠となる
「内国人で入りカジノ許容」発表に至る。
1995年西10年の時限法として
「廃鉱地域開発支援に関する特別法」が制定され
(その後2次にわたる時効の延長で2025年12月まで)
劣悪で立ち遅れている廃鉱地域に
全国唯一の内国人で入り可能なカジノ事業を誘致し、
廃鉱で失職した住民を雇用し、
地域経済も活性化させることを目的としている。
1998年公共持ち分が51%の(株)カンウォンランド設立となった。
現在の従業員は5,457名(正規3,676名 協力会社16か所1781名)
12,000㎡
160台のテーブルと1360台のマシン
ホテル、コンベンションセンター、ウォーターパークもあるが、
カジノに事業構造が集中化され、カジノの依存度が高い。
2)カジノ以外の主要産業
・農工団地 3か所 35会社 371名
・伝統市場 4か所 560店 1,049名
5日市場など訪問客の活性化を図り、
社会的経済育成支援策 127社
3)カジノ事業関連部署の設置
・カンウォン道庁 資源開発課
協力官の派遣 カンウォンランドでの勤務
・ジョンソン郡庁 経済課 カンウォンランドへは未派遣
懸案事項発生時に出張協議
4)カジノ事業者からの税収 割合
①税収 中央へ7割 地域3割
2016年 約6389億W 国 4489億W 地方 1900億W
2017年 約5951億W 国 4147億W 地方 1805億W
2018年 約5188億W 国
②割合
2019年 道税 183億の10%
郡税 378億の53%をカンウォンランドが占める
5)ギャンブル中毒対策と実態、予算
実態資料及び予算なく、
カンウォンランド内でギャンブル中毒予防センター運営中
6)カジノ開場からジョンソン郡の変化
①廃鉱地域基盤施設の拡充
「廃特法」制定以降、
カンウォン道の廃鉱地域に
約3兆ウォンの予算を計上、
ジョンソン郡には
約8611億ウォンの支援を受ける。
約20年間で関連予算の大部分を
道路、建物などの基盤整備に投資、
生活環境は改善できたが、
住民生活に密接な
医療・教育などに関する予算は少なく
総合病院、福祉施設が不足している。
②カンォンランド開場による弊害
貸付会社が乱立、
さらに貸付会社から抵当にとられた車を
道路に不法駐車し、
交通混雑をまねいている
駐車場の追加需要が発生している。
学生及び青少年の有害環境は問題で、
カンウォンランドが位置している地域では、
裏通りに性的広告や風俗店など
劣悪な教育環境となっている。
多くの観光客が訪れているが、
医療施設が不足し、
負傷者発生時に適切な治療ができず、
死亡事故が発生するなどは大きな問題だが、
原因提供者のカンウォンランドに
この問題への対応が弱く、
医療施設の増設など要請しているが対応されない
韓国視察報告1 カンウォンランドと中毒センター
みなさん、こんにちは。きしべ都です。
先日、
カジノの実態を視察に
韓国にいってきました。
以下、報告です。
Ⅰ、江原ランド
1)カジノ開業まで
1989年から石炭産業合理化政策が施行され、
おもな産業であった炭鉱が閉鎖し、
まちの荒廃が進んでいく中で、
住民からも新たなまちの進行を望む声が
上がるようになった。
しかし、寒さの厳しい環境の中で
新たな産業の創出は難しく、
IR設置をしていくことに決定した。
1998年に、
現在地ではなく少し離れた場所で
ミニカジノをスタートさせ、
2003年に現在の場所で
(株)カンウォンランドを正式に設立させた。
さらに今年、ウォーターパークの施設も完成し、
IRとして完成形になった。
その根拠となる法律は、
「廃坑地域開発支援に関する特別法」で
1995年に制定され、
10年に一度見直しが行われ
議会承認が必要になる。
また、事業者は3年ごとに
運営許可を提出することが義務付けられている。
2)カジノ施設とその利用規制について
2013年にカジノ面積を拡張し、
12.793㎡(3.870坪)となった。
180台のテーブルと
1.360台スロットマシーンを有する。
VIP用に20台用意されている。
来場者は、
シーズン中は一日10.000人、
シーズンオフでも7.000人の入場がある。
開業時間は昼の12時から翌朝の6時までで、
24時間営業ではない。
規制について
入場は月に15回までと制限し、
15回入場2か月続けた場合は、
翌月は入場することができない。
また、近隣4地域住民は月に1回しか入場できない。
ゲームについては、
掛け金は30万ウォンまで、
電子テーブルで300万ウォン勝ったら
そこでゲームを終了する。
しかしVIPは別枠となる。
アルコールの飲酒はできない。
本人や家族の受け入れ禁止を受け入れ、
従業員役員家族の入場禁止、
不正行為取り締まり 貸金・座席の売買など、
健全化の規制を強化している。
3)地域への貢献
公企業株式会社(公共持ち分51%)として
周辺市町との連携、
地域業者へのアウトソーシングや、
地域食材の活用、
建設業との連携など地域貢献を行っている。
雇用創出では、
派遣も含めて74、5%が、
現地採用となっている。
地域貢献には1億9470万ウォンをあてている。
Ⅱ、賭博中毒管理センター
社会的副作用(依存症)の対策として、
カンウォンランドができた
2000年の1年後2001年設立した。
予防専門官や心理社会福祉の
専門家11人で対応している
グローバル専門機関であり、
そのミッションは
健全なゲーム文化(責任賭博)の醸成である。
ここの特徴はワンストップの制度で、
予防広告を出し、
心理検査、相談、
治癒 再発防止、
リハビリ再発支援を行っているいること。
具体的に治療費支援
財務相談
法律相談、
職業復帰支援制度
資格教育費なども併せて行っている。
9時から24時まで、
年中無休で解説し、
ゆっくり休める空間として、
ラウンジを9時から20時まで、開放している。
夜中の12時以降が
カジノで依存症に陥りやすい時間とされており、
依存症だった人たちが活動団を作り、
カジノ内の見回りをしている。