2018年5月6日

日華議連 台湾視察 その3 新北市の文化・観光施策

みなさん、こんにちは、きしべ都です。
日華議連 台湾視察 その三日目です。
新北市の文化・観光調査は
まず、金宝山鄧麗君記念墓園。
お墓が観光になるのか
疑問をもちつつ
金峰山に向かいました。 
1995年 急死したテレサテンの墓園ですが、
周囲は芸術的景観をもつ現代的な墓園で、
山を背に広々とした敷地から野柳地区一帯が一望できます。
テレサテンの墓園は周囲が整備され
「テレサテン記念公園」と称され、命日には記念行事が催されています。
火葬が基本の台湾で、土葬されているのは、
蒋介石と蒋経国(蒋介石の子、6、7代中華民国総統)とテレサ・テンの3人のみ
特別な存在だそうです。
日本でも歴史上の偉人や功労者の墓、顕彰碑など
文化史跡、観光地として誘客を図っていますが、
芸能人の墓地についてはこういった観光地化はあまりされていないと思います。
が、遺族、関係者の了解の元
没後も慕う人々に公開され、長く人々の記憶に生き続けることもあることを感じました。
郊外の山中ではあるが、路線バスもあるというくらい、
20年以上たっても人を呼び込む力をもつ偉大なアーティストであり、
墓地ではありますが、
観光地として台湾だけでなく、アジアを中心とした内外からの訪問が絶えず、
お墓参りを組み込んだ観光ツアーもあると聞きました。
新北市の観光の大きな拠点でもあります。
歴史、景観、建築といったハード面でない
文化面、ソフト面での観光誘客の参考としたいと思います。

文化・観光調査は野柳地質公園です。 
野柳地質公園の奇岩は世界奇観の一つとされ、
海岸が延びている方向と地層及び構造線の方向は、
ほぼ垂直状態。
海水による侵食、岩石の風化、海と陸の相対的な運動、
地殻の運動などの地質作用の影響で、珍しい地形が形成されました。
奇形岩がたちならび、自然が生み出すアートと言われています。
自然景観地、また、海岸地ということで
保全・安全に非常に配慮されていました。
とくに保護のための赤い線が引かれている先は立ち入り禁止区域で
警備員が配置され、少しでも踏み入れると厳しく注意されます。
海岸というかがけ地でもあるので
こうした人による安全策は
人件費もかかりますが、
貴重な自然岩の保存のためにも
必要な経費と考えられています。
人気のある女王の頭は後、数年で首が折れてしまうとも言われ、
写真なども制限エリアを作っているが、
一方で園路に記念写真用にレプリカも用意してあり、
訪問客へのサービスが感じられます。
多言語の案内板やパンフレット、分かりやすい案内標識、
歩きやすい歩道,手すりなどの整備で
小さい子から高齢者まで楽しむ工夫されています。
園内にはQRコードでの案内ガイドのアプリ紹介もありましたが、
バージョンが古いためなのか読み込めず、
使えなかったのが残念でした。
近年、中国からの観光客が減ったことへの対策として、
4月から5月までライトアップを施し、
夜の観光にも力をいれ誘客を図るなど新たな工夫を行っています。
案内灯はありましたが、
歩道から岩場へいったときの安全面対策など
気になりましたが、現地では確認できなかったです。
台北辺りでは小学校の遠足はこの地に来ることも多いらしく、
たくさんの子どもたちがクラス毎にガイドさんの説明を聞いていました。
園内に地形形成の過程などの説明板が多数有り、
学術面での情報も多いのはいいと思いました。
同様の地質公園として
視察の数日前まで日本の秋芳洞など
友好地域の公園の展示もされていたそうで、
HPでも秋芳洞とはリンクもあってあり、
日本との相互交流も行われていますが、
まだまだ、日本での知名度は低いと思われます。
台湾では有数の観光地とのことですが、
台北郊外にある上、アクセスはあまりよくなく、
長距離バス等の利用では結構時間がかかりることも
日本からの観光が他に比べ少ない要因かと感じました。
台湾は外交上の課題も多いですが、
ユネスコに加盟していないため、
ユネスコの事業である世界ジオパークを標榜できないことは
広報上、観光誘客でハードルとなっているようにも感じました。
青い空とひろがる海岸線、
ふしぎな形の岩岩、
台北の街並みや九分などとも違う
自然の景観はすばらしく、
その見せ方、安全対策,とくにユニバーサルなサービスは
神奈川野観光の参考になりました。

午後から新北市を離れ、宜蘭県へ移動しました。
文化・観光調査の3つめは 国立伝統文化中心(国立伝統文化センター)です。  
国立伝統芸術センターは、
五結郷冬山河の下流近く、有名な冬山河親水公園のそばに
2002年1月に設立され、
古い建造物を移設したり
伝統芸能や技術を展示,演目を常時上演したりすることで、
伝統芸術の人材育成を担い、
伝統芸術の調査研究、 保存継続と発展、創出などの業務を行っています。
広大な敷地内には、2館の展示館、戯劇館、
3街の伝習街、民芸街、臨水街、
1廟の文昌祠を配置し、
民間の伝統文化の保存に
演劇、音楽、舞踏、工芸、雑技などのテーマにそって、
21の建物と景観エリアが設置され、
その中では伝統技能を持つ職人が古くより伝わる文化を披露、
京劇・布袋劇といった台湾伝統芸能は月ごとに演目を変え、
台湾各地の伝統芸能や工芸、文化を総合的に紹介しています。
古い街並みや古建築の移設により、「見て・触れて・楽しめる」に
「感じる,包まれる」といった環境を提供し、
広大な敷地を活かした「民族、歴史、生活、文化の体験的展示」の
テーマパークを形成しています。
「歴史的なものは、保存し活用してこそ、
その価値が検証され、生命が続くのです」と言うことばを
体現した施設であると感じました。
街並み、季節毎の行事や祭りまで再現しており、
伝統芸能や民族文化の啓発や継承、体験の大規模な施設です。
各地方や町に点在している民芸や手工芸品など
台湾の物産の紹介をすること手工業の活性化も図っています。




 

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